アウグスチヌス  


アウグスティヌス中世時代におけるキリスト教の教義(ローマ・カトリック教義)の根本を作った人物がアウグスチヌスでした。彼は人間始祖の「原罪」を性の問題と結びつけ、遺伝的な罪として理解しました。また、彼は歴史を神の摂理史としてとらえ、人類史を6段階(アダムからノア、ノアからアブラハム、アブラハムからダビデ、ダビデからバビロン捕囚、それからイエスの誕生、そして最後の審判まで)に分類したのです。彼の歴史観は単なる出来事の解釈ではなく、あくまでも創造主である神からの視点から人類史を探求しようとしたものでした。また、彼が目指した「神の国」も単なる空想的なものではなく、実現可能な理想郷だったのです。アウグスチヌスの神学体系によって、人々の信仰は深まると同時に学術的な深遠さも備わるものとなりました。キリスト教徒は彼の神学によって堂々たる神の選民としての威厳を確立したと言えるでしょう。

 まさに彼こそ、ユダヤ教におけるモーセのような役割を果たした人物です。実際モーセは神の召命を受けから死ぬまでの40年間をかけてイスラエル選民を内的にも外的にも指導し、エジプト支配を430年で終了させたのですが、それと同様にアウグスチヌスは西暦391年に司祭として召命を受けてから死ぬまでの40年間をかけてキリスト教選民を内的にも外的にも指導して、西暦430年にこの世を去ったのでした。