王国の分裂  


 キリスト教の王国が分裂した状態は400年間ほど続きます。これは、ちょうどイスラエルの国が分裂して信仰が乱れ、預言者たちが迫害され続けた400年間の歴史内容をキリスト教ヴァージョンで繰り返している(同時性をなしている)ことを意味しているのです。そしてユダヤ教において神のメッセージを伝える預言者が次々と現われて国王に警告を与えたように、キリスト教においても教皇たちに対して聖トマス・アクィナス、聖フランシス等の聖者が次々に現われて信仰の刷新を迫ったのです。
 ところが教皇達は彼らの声に耳を傾けず、反対にその堕落と腐敗はますます進み、教会史では十世紀を「娼婦政治の時代」と呼ぶこともあるくらい教皇庁内部での不倫・不道徳が横行したのでした。
 そして、ついに十字軍の敗北によってキリスト教封建社会は一挙に崩れ始め、ちょうどユダヤ民族がバビロンに捕囚されたように、教皇たちが南フランスのアビニョンに捕囚される運命となったのです。