台風23号は既に56名以上の死者を出し、いまだ行方不明者も多数います。しかも、各地の被害状況を見るとその破壊力の大きさに驚かざるを得ません。今年ほど頻繁に大型の台風が襲ったのはめずらしいということですが、それはもう異常気象という次元ではなく、地球そのものの異変に気づかなければならないということを意味しているのではないかと思います。
また最近は自然環境の被害も多く、たとえば海岸ではクラゲが大量発生して漁民が打撃を受けているとか、クマが作物を荒らしたり民家を襲っているとか、あげれば切りがないほどです。そういうことは大型台風などの被害とは直接的には一見無関係のようにみえて、実は「物が言えない」自然そのものがしきりに何かを人類に訴えかけている現象の一環であるように思えてなりません。
地球は美しい星ですが、環境には限界があります。戦争、差別、経済格差から最近の汚職事件やオレオレ詐欺にいたるまで、そういう人為的な問題に関心が集中する中で、物言わぬ自然が発する警告的なメッセージに真剣に耳を傾ける機会に乏しかったような気がします。環境問題といえども、つきつめれば人間の行為が自然環境に対して致命的な打撃を与えてきた「人為的問題」であるということもできるでしょう。
私たちは、いま一度あらためて地球そのものが一体どんな状態になっているのかということ、そして地球上に住む人類がお互いの共有の場である環境について何をなしうるのか、そういう問題について国や民族の利害関係を超えて本気で考えなければならない時が来たのではないでしょうか。 |