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20105

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江本武忠
(えもと・むちゅう)

(2004/05/08(Sat.) 23:39 〜 2004/04/08(Thu.) 10:46)

  インターネット掲示板をめぐる裁判の動向 2004/05/08(Sat.) 23:39 

「2ちゃんねる」といえば匿名性を売り物にしたインターネット掲示板の代表格ですが、昨日(7日)「2ちゃんねる」に2つの郵便局を同時刻に破壊するという脅迫的な書き込みをした高校生が逮捕されました。書き込み(4月28日)から逮捕まで10日も経っていませんので、きわめて迅速な逮捕であることがわかります。

これまでのように掲示板管理人の責任が曖昧だった時代にはありえないほど、掲示板の書き込み事件に対する警察の捜査は迅速化しているのですが、この現象の背景には「2ちゃんねる」をめぐる裁判の判例がどんどん確定しているという事情があることを見逃すことは出来ません。

「2ちゃんねる」の書き込みをめぐる裁判は増加しており、昨年12月には動物病院と獣医師が掲示板の書き込みで名誉を傷つけられたとして管理人・西村博之氏を訴えた裁判で400万円(請求は500万円)の損害賠償命令の判決が出ていますし(東京地裁、東京高裁判決)、先月も大阪の歯科医師が提訴した名誉毀損の書き込み事件で大阪地裁は西村博之氏に200万円(請求通り)の支払命令と発信者の情報開示を命じる判決を下しています。
東京高裁判例については:[Click Here!]

私はこの現象は好ましいものとして高く評価します。実際、匿名掲示板で誹謗中傷された場合に困ることの一つは相手を特定することが出来ないことですが、特に管理人自身もグルになって誹謗行為をやっている場合は被害者はほとんど泣き寝入りせざるを得ないことが多いからです。
郵便局を破壊するというような明らかな脅迫事件でなくても、何らかの誹謗中傷行為や業務妨害を受けた被害者の人権が最大限に保護されるような傾向に法体制が向かっていることは望ましいといえるでしょう。

ただ、今後の課題としては掲示板に誹謗中傷の書き込みがあった場合、そのつど裁判を起こすというようなことは被害者にとって非常に負担が大きいし民事裁判では迅速性にも欠けるため、警察等の捜査機関に被害者が身分の証明と削除申立根拠を疎明できた時点で掲示板管理人に対する削除命令(少なくとも発信者の情報開示命令)を略式の仮処分決定のような形で執行できるようなシステムを早く確立することが大切ではないかと思います。なぜなら、不特定多数が閲覧できるインターネット掲示板に誹謗中傷の書き込みをする人に法の保護を与える理由などないからです。

本来、デジタル情報は高速でしかも劣化しないのが特色です。これからのインターネットは匿名性を売り物にする時代から、「インターネットだからこそ悪いことは出来ない」、「インターネットだからこそ迅速・正確に情報開示ができる」という時代に、徐々に移行していく必要があると思います。最近の裁判所の判決の中にそういう精神がはっきり現われていることは、健全なネット文化を目指す者にとっては非常にありがたいことだといえるでしょう。



  麻原教祖3女の大学入学について 2004/05/06(Thu.) 23:33 

オウム真理教麻原教祖の3女が文教大学(人間科学部)に合格していたにもかかわらず大学側が入学を拒絶した問題について、東京地裁が先月に3女の申立(入学者としての地位保全の仮処分)を認めましたが、文教大学もその地裁決定を受け入れて3女の入学を改めて認めることになりました(毎日新聞[5月6日20時3分更新])。

文教大学の場合、その直前に和光大学が3女の入学を拒否していたという事情があったため、それに単純に「右へ習え」ということで拒絶したという経緯もあったかもしれませんが、オウム教祖の娘が入学することで大学のイメージが落ちるという法人経営上の判断もあったのかもしれません。
しかし、本来誰にでも学問の自由を保障すべき大学が正当な理由もなく合格者の入学を拒絶することは許されないというべきでしょう。

麻原教祖は確かに大量無差別殺人を犯したということで第一審で死刑判決を受けましたが、3女にその罪が及んだわけではありません。しかも、未成年者であれば麻原教祖の親権行使という問題がからむのかもしれませんが、この人は21歳の成人です。入学を取り消しうる正当な理由はないという東京地裁の判断は全く正しいと私は思います。

日本人的な習性なのかもしれませんが、「オウムは出て行け」という社会的風潮が高まると、その本来の罪の内容が忘れ去られてしまい、まるで社会全体が人民裁判に加担する陪審員でもあるかのようにオウムに関わる者全員を差別するようになる傾向があります。

絶対に許されてはならないオウムの犯罪に対する憤りの感情と、その罪の清算のあり方を検討する理性を混線させてはいけないでしょう。オウム事件とは一体何だったのか、「被害者」とは一体誰を指すものか、法律論のみならず宗教的見地からの考察も、まだまだ本質は見えていないと言うべきです。
マスコミや一般大衆はともかくとして、少なくとも真理を追究する機関である大学においては、万人が模範とするに足る判断基準を示してほしいものだと思います。



  世界に通用しない米軍の倫理観 2004/05/03(Mon.) 13:35 

イラク紛争で、これまで捕虜に対する虐待について噂としては情報が伝わっていましたが、このたび現場の虐待写真が公開されることで虐待の事実が決定的となり、しかも捕虜虐待は個々の兵士の行為ではなく米軍自体の方針であることが明らかになってきました。

捕虜を裸にして冷水を浴びせる、ほうきの柄などで性的暴行を加える、性的行為を強要する、軍用犬をけしかける等の虐待ということですが、もはや米軍が真剣にイラクに「民主政権」を作ろうなどと考えていないことは明らかです。中には「(拘束者を)独房に入れ、裸にし、3日間、トイレへ行かせず換気もするな、と軍情報機関から指示された」といって家族に手紙を書いた兵士がいる(読売新聞[5月3日13時43分更新])ということですから、あとは推して知るべし、ということです。

イラクの人々は自らの信じる神を熱心に信仰しており、紛争も神のために戦っているわけで、人質についても本当にイラク支援の意思のある者については丁重に扱ったことは世界に周知の事実です。それに対してアメリカの軍隊にはそういう倫理観念が全く感じられないし、ましてやキリスト精神など全くの皆無です。イラク紛争の最大の特質は、この意識の相違であるといえます。
確かにアメリカの軍隊は強いです。そもそも、地上で2次元的に動く相手を空から3次元的に攻撃するのですからアメリカが「勝って当たり前」のことですが。。。

アメリカがこういう姿勢で世界のボスのように振るまい続けることには絶対に私は反対です。ファルージャにおける民間人の大量虐殺、モスク(礼拝堂)への爆撃、捕虜虐待、こういう蛮行を行なってイラク人から支持を受けることは絶対にありえないし、当初の占領統治の目的が根底から否定されるものです。ブッシュ氏はイラク紛争が困難な様相を見せてきたと表明していますが、事態を困難にしているのはアメリカ自身であると言うべきでしょう。



  北朝鮮・平安北道の爆発事故 2004/05/01(Sat.) 00:48 

北朝鮮の列車爆発事故は実に悲惨で、160名以上と言われる死者の大半が小学生で、しかも負傷した多数の子供たちもほとんどまともな治療を受けられていない状態だという。今、世界中の哀れみが平安北道の子供たちに注がれていることは間違いないことでしょう。

しかし、北朝鮮は今もなおかたくなに秘密主義を徹底しています。国内事情を知られたくないため、物資援助は望んでいるものの、韓国などの物資援助も陸路からの援助は拒絶しています。

国民が餓死寸前の状態にあることを知られたくないという気持ちもあるでしょうけれども、今回の事故を機会にあらゆる政策を見直すことも大切であろうと思います。報道でも、事故の悲惨さや病院設備の欠如は伝わってきますが、国内の軍隊や警察が積極的に援助活動をしている映像は見られません。それは、はっきり言って国家が崩壊寸前であることを意味しているのではないでしょうか。

末期のソビエト連邦がにっちもさっちも行かなくなった結果、ゴルバチョフがついにペレストロイカ(改革)とグラスノスチ(情報公開)の革命を決意したように、この平安北道の尊い子供たちの犠牲の上に、北朝鮮も全世界に向けて門戸を開くべき時なのでしょう。

平安北道は再臨のキリスト・文鮮明師が誕生した聖なる地です。ゴルバチョフ大統領が文師の指示に沿って改革を進めていたことは関係者のよく知るところですが、最後の秘密国家と言われる北朝鮮の自由化もまた再臨主と深い因縁のある地から開かれてゆくようにも思われます。



  菅直人さん、そりゃおかしいよ。 2004/04/29(Thu.) 00:22 

国会の年金論議の茶番劇はますます加熱して、もう低俗な漫談でも見ているような錯覚に陥りそうです。民主党の菅直人代表は、年金コマーシャルの女優江角マキコさんが未納者だったという問題が起きた時、「江角さんを参考人として招致すべきだ」と厳しく追及したり、3人の閣僚未納者について「未納3兄弟」だと声高に批判したりしていたのに、自分が未納者であったことが判明すると、「行政上のミス」だとか「やましいことは全くない」などと言って責任がないかのように言われます。

しかし、これはおかしいんじゃないでしょうか。少なくとも、一般国民においてはそんな弁明など成立しません。例えば、実際に納めていたのに行政上のミスで収めたことになっていなかった(カウントされていなかった)という手違いならば「行政上のミス」といえるでしょうけれど、税務上納めなければいけないことが明白で、現実に引き落としがなされていないことは当時の自分の通帳を管理していればわかるはずです。

しかも菅代表の未納期間は、菅さん自身が年金問題を担当していた厚生大臣時代の期間でしょう。そんな重大な立場にあった人が何の言い逃れも出来ないことは明らかです。
それにしても、政治家の弁明のうまさには感心してしまいます。笑点だったら座布団を何枚でもあげたいところです。

「年金や やじる声こそ むなしけれ」(むちゅう)



  自己責任論、再び 2004/04/27(Tue.) 10:03 

人質3名の救出費用に関連して、外務省は人質家族らに対して237万円の渡航費などを請求しました。確かに、事件があろうがなかろうが、彼らは鳥ではないのでお金を出して飛行機で帰るでしょうから、それを国が税金でサービスする理由もないわけです。

ただ、これが「危険な所に自ら行って迷惑をかけたのだから責任を取れ」という自己責任論と重なって非常に議論がやかましくなっています。自民党の柏村武昭議員などは人質たちを「反日的分子」と呼び、そんな者に血税を使うことには強烈な不快感を感じると発言して問題になっています。発言の真意はともかく、そこまで言い切るのならばむしろ「自作自演説」に触れたほうが分かりやすかったかもしれませんが。

この自己責任論、海外では非常に評判が悪いわけですが、どうも彼らがまるで「勇敢に戦った英雄」であるかのように誤解されているようです。今回のイラク人質事件はそういう武勇談とかショーではなく、一連のイラク紛争の中で起きたアクシデントとしてとらえなければなりません。
少なくとも今回の紛争でイラクの民間人を大量虐殺したアメリカが、イラクと日本の友好関係において救出された人質について日本が「英雄視しない」と言って非難することには、何か不思議な差別的人権感覚というか違和感を感じざるを得ません。



  年金の実態 2004/04/23(Fri.) 12:03 

いやもう、今や年金論議が盛んです。ここのところ、ショッキングな人質事件の影に隠れて目立たなかった印象もありますが、年金問題は深刻です。

国民の年金は当然のことながら国民の年金に当てるために国家が貯蓄管理して、その保管期間を利用して利子などの付加もあるのかと思ったら事実は全く逆で、官僚たちが必要もない高級車を乗り回すことに使ったり、経営の見込みが全くない巨大な施設(要するに利権がらみの物件)を作るために使ったり、その他もう馬鹿馬鹿しいとしか言いようのないことに国民の年金が浪費されていたことが次々と発見されています。

また、年金のCMに起用された女優自身が年金を支払っていないことが問題になりましたが、一部の政治家を調査したところ、「経済産業大臣」の中川昭一さんは21年間も国民年金を支払っていないし、「総務大臣、元経済企画庁長官」の麻生太郎さんも3年10か月分、石破防衛庁長官も1年5か月分、支払っていなかったということです。
おそらく手続きを忘れたということで特別の悪意はなかっただろうし、支払ってなくても督促は来ないという制度上の欠陥もあるのだとは思いますが、こういう「国民の手本」になるような閣僚の方々がこの状態では、国民の半数ぐらいが年金を納めていなくても全く何の不思議もないと言うべきではないかと思います。

そろそろ、こういう国民年金の茶番システムを根本的に改革する時がきているのでしょう。そして、まさにその改革は取りも直さず政治家自身のあり方から問われなければならないのだと思います。



  人質の「自己責任」について 2004/04/21(Wed.) 12:51 

解放されて命が助かった人質に対して政府が「自己責任」の存在をはっきりさせる目的もあるのか、チャーター機などの費用を請求するということですが、この「自己責任」についていろいろな議論があります。おそらく、これは多角的に論じられるべき問題で、一方的に片寄った結論は避けるべきなのでしょう。

政府が彼らに費用を請求したくなる一番の理由は、「危険な地域だから行ってはいけない」という政府の警告を彼らが無視して勝手に行ったために起こった事件である、ということでしょうね。
それから、人質が(ある人質は自ら告白しているように)全員が共産主義の活動家で日本政府を批判する方々ばかりだということもあり、政府としては彼らの反国家的行動に対する責任を問いたい、ということではないかと思います。

こういう政府の態度は海外などでは理解しにくいらしく、中には「危険を冒してイラクの人を助けようとした勇気ある行動をなぜ日本人は批判するのか」と言って非難する人も少なくありません。しかし、これは日本政府が自らの見解についてアピール不足であることが原因になっているように思われます。

事件には数億円の経費がかかっていますが、実際に政府が請求しているのは一人当り数万円にすぎませんので、救出にかかった経費を本気で賠償させようという気がないことはあまりにも明らかです。ですから、政府の真意を汲み取ることも大事ではないでしょうか。

人質と同様に共産主義の思想が強いテレビ朝日のワイドショーでは、人質の態度を絶賛して英雄視し、莫大な費用については、大和田という司会者が「たとえ20億円かかったとしても国民一人あたり、わずか20円です」などと言って全く問題ないという発言をしていました。

しかし、それは観点が違うんじゃないかと思います。大和田という方が国民の税金というものをどのように考えておられるか知りませんが、国民(赤ん坊から寝たきり老人まで)全員が20円ずつ人質救出のために善意の寄付するというような話ではなく、既に強制的に徴収されている(納税義務のある)国民の税金から20億円が使われる、という事態の意味が問題なのです。

もしも、危険な地域に勝手に行って勝手に人質になる人を英雄のように賞賛することで、今後こういう事件がどんどん増えるようになったら、国はその対応に追われて大変なことになり国政の実質運用にも影響してしまいます。テレビ朝日はやっぱり国家に反対する共産主義者の集団だったのかと改めて落胆させられますが、テレビにおける発言の影響力を考えると、視聴率を取ることしか関心のない無責任発言には憤りすら感じます。



  聖職者の使命 2004/04/19(Mon.) 21:21 

このたびの人質事件は、日本人に関しては5名全員が解放されましたが、解放の決定的要因はイスラム聖職者協会の宗教指導者が解放を要請したという所にあったと思います。このことは、世界の紛争は最終的に宗教指導者の仲介による必要があることを暗示しているように思われます。

アメリカに対する非難が(米国内でも)高まっている上に便乗するつもりはないですが、アメリカは「力による平和」を行使しすぎた嫌いがあるのではないかと思います。ファルージャでは数日間のうちに700名ほどのアラブ人が米軍によって虐殺されましたが、死亡者の大半は兵士ではなく女性や子供の民間人でした。しかも、ジュネーブ条約で禁止されているモスク(礼拝堂)への攻撃を強行したことは国際法違反だというそしりを免れないでしょう。

アメリカ兵は「モスクが軍事目的で使用された場合は攻撃してもいいんだ」と弁明していましたが、そんな法解釈や事実認定を一体誰がするのでしょうか、またその場合、イラク側の抗弁権を誰が保障するのでしょうか。もう、世界の情勢はアメリカが保安官・裁判官気取りでふるまえる時代ではなくなったといわねばならないと思います。

イラク側は、人質について民間人であることがわかると態度を変えて丁重に扱い、安全なルートを使って全員解放しています。誰でも殺してしまうアメリカの姿勢とは全く対照的にも映ります。

アメリカはこれまで国連の存在価値をほとんど認めない態度でしたが、それが今、世論に押される形で変化しつつあるように思えます。国連というものが存在する最も重大な意義は、力による調整ではなく、各国によって異なる宗教思想を超えた次元での寛容な価値観を中心とした調整・和解が期待できる点ではないかと思います。



  競売品をオークションに 2004/04/17(Sat.) 12:56 

石原慎太郎さん、ますますお元気のようです。
東京都は昨日、都税の滞納者から差し押さえた絵画や古美術品などを、インターネットのオークションで売却する方針を発表しました。ヤフーと協力してシステムを構築し、7月から試行されるとのことですが、石原都知事は都税収の確保・徴収率の向上にもつながると話しています。

今は会社の倒産や個人破産者も多い時代ですが、動産・不動産の差押えの案件も非常に多いでしょう。ところが、差押えを執行する裁判所の執行官が絵画や美術品の相場に詳しいわけもなく、それらの差押え物件は無駄に眠っているケースも多数あると思います。しかも「ワケあり物件」ということで、なかなか買い手がつかなかったという事情もあるかもしれません。

また、そういう物件に関心がある人がいても、一般に詳細が公開されませんので知ることができませんでした。インターネットならば画像付きで全国に買い手を求めることもできます。そういう意味で、都知事の政策はインターネットが普及しつつある現状を踏まえた賢明なものと言えるでしょう。

7月予定の1回目のオークションには山下清のリトグラフ(見積額10万円)や掛け軸、小判、指輪など17点程度の出品があるとのことで、パソコンを持っていない人は都主税局内で無料利用ができます。
また、もしも落札価格から税金の滞納分(およびシステム利用料金)を差し引いて余りが出た場合には、その差額が滞納者に返却されるというわけですから、滞納者自身にとってもありがたい政策であると言えるかもしれません。

こういう、インターネット時代にふさわしい前向きの政策は具体的にどんどん進めていただきたいと思います。石原さんの良い所は、構想や談話だけで終わることなく常に政策に現実味があって、関係者らとの合意を積極的に得ているという点ではないかと思います。



  3人の人質解放 2004/04/15(Thu.) 23:55 

日本人の人質3名がようやく解放されました。イタリア人の人質が殺されたという情報があった後だけに、その安堵感も大きく、日本中がひとまずホッとしたという感じですね。

現地ファルージャの停戦状態という環境が状況を好転させたとも言われていますが、それにしても犯人グループが「イスラム聖職者協会」の要請に応じて人質を解放したということに対しては、さすがに宗教国家における聖職者の権威とはこういうものかと思い知らされました。また、一つの行為がジハード(聖戦)として公認されるものか否かという問題について、イスラム教徒がいかにコーラン聖典の法解釈に重きを置いているかという事実をかいま見たような気がします。

もしも米軍の強行突破などによる救出であれば、また多くの死傷者が生じた可能性もあったでしょうから、その国の内部で起きている事件は出来るだけその国の指導者の仲介や知恵を借りるのがよい、という教訓を残したとも言えるでしょう。



  現代の天動説 2004/04/12(Mon.) 22:11 

国立天文台が行なった調査で、公立小学校の4、5年生116人を対象に「地球は太陽のまわりを回っている」「太陽は地球のまわりを回っている」という2つの文章から正しいものを選ばせたところ、41%が「太陽は・・・」の“天動説”を選んだということがニュースになっていました。

これは今の学校教育がきわめて表面的なもので、自然を立体的・グローバルに把握することにあまり力点を置いていないことの証左になっているのではないでしょうか。別の言い方をすれば、物事を全体的にとらえず、自分という「個」を中心とした発想をする人間が増えてきた、ということかもしれません。

先日、社民党の臨時党大会で福島瑞穂党首(弁護士)は「イラクの人質問題を招いた責任をとって小泉首相は退陣すべきだ」という考えを示しましたが、こういう福島弁護士の考え方も、個人の「人権」を国家治安よりも優先して守ろうとする「人権派弁護士」の地金がポロッと出てしまったもので、私の考えでは一種の「天動説」というべきものだと思います。

国家が平和であるからこそ個人が守られるのです。一歩、日本の外に出て法律や宗教の異なる国に行けば誰でも人質になる危険性がないとは言い切れません。
日本は敗戦後、国家主義に対する警戒心を高めるあまり、国家そのものを真に敬愛する念を忘れ、国家権力を非難する風潮ばかりを日教組が植え付けてきたようです。



  15万名の署名は貴重な資料である 2004/04/11(Sun.) 23:57 

人質の家族の方々が11日午後5時25分、「自衛隊のイラク撤退を求める」という約15万名分の署名を持って内閣府を訪れ、首相宛に提出したということで、これを見ると、人質の安否を心配するご家族の悲痛な心情はいかばかりかと察して余りあるものがあります。

しかしながら、事件の内容はともかく、署名活動という点だけを考えれば、15万名の署名を集めるというのはものすごいパワーであると感心させられます。署名活動を経験したことのある方であれば、この15万名という数がどれほどすごいものか理解できるでしょう。

犯人が提示した猶予期間は3日間でしたが、初日はまさか署名活動どころではなかったでしょうから、実質的には2日間(48時間)で15万名の署名を集めたということになると思います。しかも、いくら何でも睡眠時間もあるでしょうから、現実にはもっと短時間で集めたことになるでしょう。よほど署名活動に手馴れた人間でもこれは実に驚異的なことだと言うべきです。

人間は「気の毒だ、かわいそうだ」という感情だけで署名するものではありません。「自衛隊をイラクから撤退させよ」という、きわめて政治的な価値判断を含む署名が短時間で15万人分も集まるとはちょっと考えにくいでしょう。

そう考えると、これら15万名の署名には何らかの組織、グループが動員された可能性も高いと考えざるを得なくなります。つまり、政府に提出された署名は左翼活動家たちの組織内部の方々の名前も多数連名されている可能性が大きいとも言うべきで、きわめて資料性の高い貴重な名簿であると考えられます。



  日本人の人質事件 2004/04/10(Sat.) 02:04 

う〜む。。。どうもよく分からない。
日本人3名が人質になってしまい、犯行グループは日本の自衛隊の撤退を求めているようですが、同様に拉致された韓国人牧師たちは3万ドル(約318万円)を渡したらすぐに解放したというし(注:韓国政府はこの身代金説を否定したようです)、犯行グループの目的も正体もよく分からないし居場所も分からない。

アメリカを徹底非難するというよりも、主たる要求は自衛隊撤退のようですから、少なくともアルカイダ関係ではない印象が強いですし、声明文には西暦が用いられているためにそもそもイスラム教徒でない可能性すらあるとも言われています。

危険を自ら承知で敢えて行ったとはいえ、不幸にも人質になられた方々には大変気の毒なことですが、まことに奇遇なことに人質になった3名は全員が犯行グループが要求する「自衛隊撤退」をこれまで叫び続けていた左翼活動家の方々であるという共通点があり、一人は週刊朝日のジャーナリストです。

私は基本的には、実質的に復興支援ができない状況にある自衛隊に関しては、いったん日本に引き返してリフレッシュの時間を与えてから、今後は土木建築関係者らと提携しながら“仕切り直し”をして技術的にグレイドアップした形でもっと計画的なイラク復興支援をするべきだと思っておりましたが、それがタイミング的に今回の人質事件に屈するような形で「撤退」するという印象を与えてしまうと困ります。

現地は限りなく「戦闘地域」に近い状態になる可能性も高まっていますので、規約上どうしても自衛隊が帰国せざるを得なくなる日も近いかもしれません。どうにか(撤退ではなく)一時帰国のタイミングと今回の事件解決を両立させるような絶妙の政策を小泉さんがやってくれないものだろうか、と内心期待するものがあります。

万一、人質が殺されるようなことになり、その直後に現地が戦闘地域化して自衛隊が帰国するという順序になれば、「日本の自衛隊は民間人を見殺しにして、いざ自分が危険になったら撤退するのか」という非難が(共産党あたりから)生じることは確実でしょう。こういう政策はタイミングを間違えると同じ行為でも意味合いがひっくり返ってしまう危険があるということを小泉首相は十分予想しておく必要があると思います。



  議員年金廃止の方向 2004/04/08(Thu.) 10:46 

国会議員になって10年間年金を支払うと、最低でも年間約400万円以上の年金が死ぬまで確実に受けられます。もちろん、10年以上支払った人はもっと生涯保障も増えます。

それに対して一般国民の国民年金や厚生年金などの公的年金は、25年以上払わなければ受けられないし、金額も少ない上に更に少なくしようという方向であることは周知の事実です。

ある議員は議員年金を受け取る理由として、平然と「国民年金では生活できませんからねえ」と言われましたが、国民が生活できないことを知りながら議員年金を受け取る神経というのはどういうものなんでしょうか。やっぱりそれが政治家なんだなあ、と今更ながら思い知らされる気がします。

昨日、小泉首相が議員年金を廃止する方向で検討すべきだと発言して問題になっていますが、国民年金制度が実質上の破滅状態に近くなってきている現在、この首相発言は概ね正しい方向を示しているのではないかと私は考えます。

橋本派は、この小泉首相の見解に対して「退職後の保障がなくなれば、国会に人材が集まりにくくなる」などと批判したということですが(NHKニュース、4月7日18時13分)、国会というものが退職後の保障を求めて集まった人々の集会場だとすれば、もう日本に将来はないという気もするのですが。。。

議員は同時に「国民」でもありますから、議員年金がなくても国民年金はもらえるわけですから、議員をやめたら当然普通の国民と平等になればいいのであって、国民年金などにプラスして議員特権としての生涯保障を得ようという発想自体、政治家を志す者の動機が変じゃないかと言わざるを得ないでしょう。

むしろ退職後の保障なんかいらないから本気で日本を良くしたいという議員だけに数を絞って、ただでさえ多すぎると言われている国会の議員数を削減してほしいものです。




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