第18回世界言論人会議 2001.1.15〜17 (記事・写真出典:「世界日報・電子新聞版」) 世界日報 http://www.worldtimes.co.jp/ <この会議についての参照サイト> 思想新聞 ●http://www.ifvoc.gr.jp/new_page_87.htm ●http://www.ifvoc.gr.jp/new_page_90.htm ●http://www.ifvoc.gr.jp/new_page_91.htm |
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<創設者・文鮮明師のメッセージ> 第18回世界言論人会議 創設者・文鮮明師メッセージを朱東文ワシントン・タイムズ社長兼UPI社長が代読した。 ●文鮮明師のメッセージ全文● |
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アレクサンダー・ヘイグ 元米国務長官 レーガン大統領時代の国務長官で、七〇年代には北大西洋条約機構(NATO)の総司令官も歴任し、現在、テレビ番組「ワールド・ビジネス・レビュー」の司会も務めるなど、メディア問題にも深く携わっているアレクサンダー・ヘイグ氏は十五日、都内のホテルで開かれた第十八回世界言論人会議で基調演説し、米国大統領選挙速報でメディアの先急ぎした不正確な報道により混乱に陥ったことなどを実例としてあげながら、今後のメディアが留意すべき点を指摘した。 同元国務長官はまず、メディアは外からの強制ではなく内部からの反省が必要であり、情報技術(IT)の発展でニュースが瞬時に世界的に行き渡っているが、それが歓迎されていない面がある、と表明。「今回のような国際会議を通じて、技術の利用、言論人のあり方を考える場として利用して頂きたい」と述べた。 さらに、多様化した世界、中心の定まらない今日の世界では、戦争が起こりやすい状況にあると説明。米国だけに頼らず各国が責任を持たなければいけない、とし、多国籍な防衛協力関係が必要であると訴えるとともに、新しいレベルの情報科学の協調が必要であると述べた。(出典:世界日報 2001.1.16) |
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ダン・クエール 元米国副大統領 パネルA1の「メディアの地球的拡大―情報の量対質」で講演したクエール氏は、まず「メディアによって個人から世界に至るまで、生活の質を改善できたかどうか」と問題提起。独裁者が技術を悪用し、国民大衆を支配する時代を描いたジョージ・オーウェルの小説「1984年」を引用して、「彼が警告したことは一部は正しかったが、現代はインターネットの時代であり、すべての人が即時に情報を入手できる。これは国民の利益であり、国民の解放につながった」と情報の量的側面については肯定的に評価した。 だが「質」については、「メディアは質の向上のためにもっとやるべきことがある」と注文し、「真実を伝えきれないところがメディアの中にはあるが、競争が真実を伝える要素となる」と競争による質的向上に期待を示した。 一方、これまでメディアが関心を示さなかった部門として「責任感」を挙げ、「メディアは宗教を避けて批判し、家庭の重要性を強調してこなかった。信仰の自由、宗教的な確信を尊重しなければならならず、また、家庭の重要性を強調しなければならない」と述べ、メディアの課題を強調した。(出典:世界日報 2001.1.17) |
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ドゥミトゥル・ティヌ ルーマニア日刊紙「アデバルル」編集長 ルーマニア最大の日刊紙「アデバルル」のドゥミトゥル・ティヌ編集長は「民主化されて以降、家庭の問題について大新聞でも報道がさかんとなったが、どの程度、獲得した自由を活用すべきかを問うときに来ている」と指摘。「伝統的な家庭再興は難しいが、その道徳原理を現代社会に生かすべきだ」と訴えた。(出典:世界日報 2001.1.17) |
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シュライヤー 元カナダ総督 シュライヤー・元カナダ総督は、暴動が起こった昨年米国シアトルで行われたは世界貿易機関(WTO)総会について触れ、「メディアが、その重要性を伝えることができなかったのが原因。メディアの信頼性が問われている」と語った。また、これからの十年間で、エネルギー問題、環境問題、家庭崩壊などの深刻な問題が顕在化するとした上で、「メディアは、中立な立場で、人類が直面する難問題を積極的に取りあげ、論議を巻き起こすべきだ」と訴えた。(出典:世界日報 2001.1.17) |
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ジョン・オサリバン UPI編集主幹 ジョン・オサリバンUPI編集主幹は、「信仰の自由のために戦った人々が、その自由を得た後は自己の信仰を押しつけるということもあった」とする一方、イギリスの哲学者デービッド・ヒュームの「宗教的熱情は自由の友であり迷信は教会の敵」という言葉を引用し、信仰と自由の関係が歴史的にも複雑な経緯を経てきたことを指摘。「宗教は政治から独立した精神的権威を樹立してきたが、この精神的権威をメディアは認めたがらない傾向があり、これが課題だ」と述べた。 (出典:世界日報 2001.1.17) |
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ケネス・カウンダ ザンビア元大統領 ランチョンでは、ケネス・カウンダ・ザンビア元大統領が講演を行い、「世界を変える重要な使命をメディアが果たし、人間の良心を引き上げる役割を担っている」と説明、かつて政治指導者として自分が育てた技師、教師らの多くがエイズで次々と命を落としているとして、エイズへの救済を切実に訴えた。(出典:世界日報 2001.1.18) |
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ビル・ガーツ 米紙ワシントン・タイムズ 安全保障担当記者 午前中のパネルB3の第2分科会では、米紙ワシントン・タイムズの安全保障担当記者、ビル・ガーツ氏が、「メディアと政治的安定」をテーマに講演した。ガーツ氏は米国防総省から「ノー・ガーツ」と警戒されるほど、政府高官からのリーク情報に基づいてスクープ記事を書き続けている敏腕記者。(出典:世界日報 2001.1.18) 数千人のジャーナリストが日夜情報戦でしのぎを削るワシントンで、政府を取材対象に報道活動することについて、同氏は「最初に入手した情報が正しいかどうかを分析し判断することが最も重要だ。誤報すれば新聞社の信頼性が一気に落ちる。まさに新聞の生死がかかっている」と記者の判断力の重要性を強調した。(出典:世界日報 2001.1.18) |
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リー・エドワード ヘリテージ財団主任研究員 「メディアの政治的安定、国内・国際問題」がテーマのパネルB3−1討議では、米ヘリテージ財団のリー・エドワード主任研究員が、ラジオ・ヨーロッパなどの自由放送が東欧共産圏の解放に大きな役割を果たしたことに言及。さらに政治的安定をはかる上でもメディアの影響は無視できないことを強調。自由なメディアに支えられた米国、メディアが統制下にあった共産圏時代のソ連、そして中国が、最も政治的に安定した大国として君臨してきた事実を指摘した。 一方、十五年間にわたるチリのピノチェット独裁政権が、国民投票を控えて数日間、十五分間だけ野党勢力にTV演説を認可したことにより、これが民主化への機運を急速に盛り上げ、ピノチェット政権を倒した例も紹介、政治的安定に果たすメディアの役割の大きさを指摘した。(出典:世界日報 2001.1.18) |
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フィリップ・サンチェス ティエンポス・デル・ムンド紙発行人 (元駐パナマ米国大使) 元駐パナマ米国大使で、ティエンポス・デル・ムンド紙(中南米十六カ国と米国で発行)の発行人のフィリップ・サンチェス氏は、約二十年前、文師から「北米と南米の間に“橋”をかけねばらない」と言われた時、「それはメディアの役割だと思った」というエピソードを披露。「各国の新聞が“かけ橋”となり、あらゆる人々が対話することによって、より良い明日が実現できる」と述べ、文師が推進する世界的新聞ネットワークの意義を語った。(出典:世界日報 2001.1.18) |
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劉又根 セゲイルボ副編集局長 パネルB2「メディアと政治的安定―分裂の架け橋」の第1分科会では韓国世界日報(セゲイルボ)の劉又根副編集局長が「報道機関は公共の利益に奉仕する使命と、私企業として利益追求するという自己矛盾を内包している」とした上で、利益を追求する余り「過剰な競争によって真実を歪曲する可能性がある」と警告した。 韓国が抱える問題として南北問題のほかに、慶尚道と全羅道の東西対立が政治に持ち込まれていることに言及し、報道機関がこの「地域分裂・差別を拡大している」と現状を指摘。報道はこうした政治的スタンスに左右されず、「大衆世論を反映する調停者としての役割を果たすべきだ」と訴えた。(出典:世界日報 2001.1.18) |
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シーザー・モントゥファー 国際問題研究所長(エクアドル) エクアドルのシモン・ボリバー大学の教授で国際問題研究所長のシーザー・モントゥファー氏は、政治的安定にはメディアの独立性が不可欠であり、そのためには国家が民主的でなければならないが、同国を含めペルー、コロンビアなど中南米の多くの国が今なお、半民主主義国家、半専制国家であり、情報の入手が困難であること、透明性に欠けること、秘密主義であることを克服することが課題である。メディアが政治の片棒を担がざるを得ないジレンマがあると述べた。 さらに、貧困者救済に深く関わっている同氏は、従来の大国主義の経済、社会主義統制経済ではない第三の貧困対策のための経済構想を提唱。弱者の声をすくい上げることをメディアの重要な役割とした。(出典:世界日報 2001.1.18) |
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エリオット・エイブラムズ元米国務次官補(米国国際宗教自由委員会委員長、米倫理社会政策センター所長)との一問一答は次のとおり。
――米議会は一九九八年、宗教自由法案を可決し、米議会に同法が米外交政策できちんと遂行されているかをチェックする機関、宗教自由委員会が設置された。同委員会の委員長として、世界の宗教自由の状況をどう評価するか。 「今日の宗教の状況を十年前と比べると、より多くの宗教迫害が生まれていると思う。十年前よりも悪くなっている。なぜか。迫害というのはコインの両面であって、宗教の力が大きくなっているため、迫害も強くなっているわけだ。 例えば、中国がその良い例で、世界中で宗教が勢いづいている。これは良いニュースだが、悪いニュースは、政府がそれを恐れて、宗教を弾圧しようとしていることだ。中国では、多くの面で十年前より良くなっている。もし、中国でビジネスをしようと思えば、より多くの旅行の自由も確保されている。しかし、宗教の自由は中国でより制限されている。そうした国は他にも多く存在する」 ――国務省は、これまで二回、国際宗教自由報告を発表したが、その分析、調査に基づけば、世界で宗教自由に関する状況が改善されている面もあるのではないか。 「この宗教自由報告書は、非常に知的に綿密に作業された報告書となっている。なぜなら、この報告書をまとめるために、各国駐在の米大使館の担当者は三百六十五日、このための調査を行っている。人々にインタビューし、関連する新聞記事を読まなければいけない。こうしてあらゆる国の米国大使館は、その国の宗教自由の実情をよく分かっている。これ自体は非常に良いことだ。 この報告書によって、宗教自由に関しての注意が相当に喚起された。米外交政策の一部として、米議会の見解は米国務省が、言論の自由、自由選挙について非常に良く注意を払っていたが、宗教の自由については不十分だったという認識に基づいている。従って、この法案が三年前に通過して以来、米国務省や米大使館は、各国の宗教自由に十分な注意を払うようになっていると思う。ベトナムやスーダンやいくつかの国々などに対し、中心的課題として宗教自由に米国務省の関心が払われてきている」 ――しかし、そのためには、米国の指導者がモラルの面で尊敬される立場にたたなければいけないと思うが。 「ブッシュ次期大統領は、そうした道徳面でも国のリーダーとして立派に役割を果たせる内容があり、彼自身、信仰の厚い人物である。このため、ブッシュ次期大統領は、海外のこの宗教自由についても大いに関心を払うことは間違いない。大統領自身の人となりを通じた新たな外交となって展開していくだろう」 ――五年前に日本でオウム真理教による地下鉄サリン事件が起きて以来、同宗教の信者への迫害が社会的に強まってきた。そうした中で、わが国の中央官庁でも、こうした過激な宗教グループの信者の今後に対処するため、特別チームを作るなどの対策に乗り出している。これは、信教の自由に抵触することにもなりかねないのではないか。 「それは非常に重要な点だ。イスラム教に対しても、しばしば起こっていることだ。なぜなら、イスラム教の中には、テロ行為に走るグループもあるからだ。だが、それは基本的に間違っており、それによりイスラム教はテロリストだと思わせることになる。そうしたことが、ロシアで起きた。ロシアはチェチェンのイスラム教徒とをテロリストと思わせ憎しみを増幅させたが、それは誤ったやり方だ。 一国の政府が多くの人々に、新興宗教を恐れさせるようにすることは、たやすい。だが、そうしたことは米国では、少し難しいと思う。というのは、米国はその二百年余りの歴史で、大変多くの新興宗教を抱えてきているからだ。従って、米国民は新興宗教のアイデアに慣れ親しむところがあるが、日本やとりわけ西欧諸国ではカトリックかプロテスタント以外は、百年も歴史のある宗教を含めて奇妙で危険なものと受け止められる。 だから、その問題に対する手品のような回答は無いが、われわれができることは、政府が暴力的組織に対して権力を行使するときに、それを利用して、暴力を行使しない(宗教)グループに対しても権力を行使するようなことがないようにすることだ。暴力行為についての何の証拠もないのに、政府が力を行使するケースが、西欧諸国で見られているのは事実だ」 ――日本でも、ただ人々の間に人気がないという理由だけで、強制改宗などの不当な行為が政府によって見逃されていることがある。 「それは、どのような国でもよく起きることだ。人気のあるグループや個人よりも、人気のないグループや個人こそ、人権の保護を必要としている。米最高裁の判決を見れば、それらは警察などからの保護を必要としている人気のないグループの権利保護を多く取り扱っているのが分かる。幸いにも、多くの場合それらのグループは保護を得ているが、法的闘争を経て獲得したものである」 ――ブッシュ新政権下で、国際宗教自由報告書が今年の九月に第三回目のものとして出されるわけだが、ブッシュ大統領が、宗教重視の立場を取っていることから、その報告書は、各国の宗教自由の状況について、これまでよりもっと厳格なものとなると考えるか。 「いや、これまでの報告書は非常に優れた内容のものだ。特に昨年九月のものは非常に良い。今度の九月のものも、極めて良い報告書になると自信をもっていえる。ただ問題は、その報告書に基づいて政府が行動するかどうかということだ。われわれ宗教自由委員会がクリントン政権に対して行った批判は、報告書を出すだけで何も実効ある措置を講じないという点についてだった」 ――この宗教自由法によれば、この報告書でひどい宗教迫害が指摘された国に対しては、経済制裁などの対抗策を取ると規定されている。 「全くその通りだ。ブッシュ次期政権の第一の問題は、人権問題担当国務次官補や国際宗教自由問題担当の無任所大使任命に、なかなか着手していないことだ。このため、われわれはチェイニー次期副大統領、パウエル次期国務長官に書簡を送り、そのポストの担当者を四月、五月などの時期まで未決定のままにしないでほしい、と要請した。 クリントン政権下で、国際宗教自由報告書を二回にわたって手がけたロバート・サイプル大使は(第二回報告書の完成を見て)昨年八月末に辞任した。この仕事の責任者を空位にしたままでいることは非常に良くない。国務省はまず、核問題、それから通商問題をまず手がけなければいけないので、宗教問題は少し待ってくれという反応を示している。 もう一つの問題は、パウエル新国務長官を含め、われわれが知っている(次期政権に深くかかわる)人たちは、人権問題の外交交渉に対して少し懐疑的だった。だから、そう考える人たちを説得したいと思っている。人道的な次元での外交に対する懐疑的姿勢を持っている彼らに、われわれは米軍を派遣しようとしているわけではなく、宗教自由を問題にしており、外交、経済的制裁について論議しているということを説得したいと思っている。この問題で、すぐにパウエル次期国務長官に会う機会を持ちたいと思っている」 エリオット・エイブラムズ氏略歴 1948年ニューヨーク氏生まれ。69年、ハーバード大学で学士号。73年ハーバード大学法律学校を卒業。レーガン政権下で81年1月に国務次官補(国際関係担当)、同年12月に人道問題担当国務次官補に就任。同政権下で8年間、国務省に務めた。90年から96年にかけハドソン研究所の上級研究所。96年以来、倫理社会政策研究センター所長。98年には米議会の米国国際宗教自由委員会メンバー、2000年、同委員長に選出される。民主党保守派だったが、レーガン大統領の保守主義の信奉者になり、中南米の共産化阻止のための中南米政策の実質的立案者だった。(出典:世界日報 2001.1.18) |