精神病院に強制入院させられ、改宗を迫られた統一教会員が、高村正彦弁護士(のちの法務大臣、外務大臣)・上野忠義弁護士等による人身保護請求裁判により自由を獲得した |
統一教会会員E子(京都女子大卒、中学1級及び高校2級教員免許取得、当時26歳)は、後藤富五郎(全国原理被害者更正会会長)らによって無理やり精神病院に入院させられ、統一教会からの改宗を迫られた。E子は注射を拒絶したが、二名の看護人によって押さえつけられて強引に注射を打たれ、特別な個室に入れられた。そこはトイレにも囲いが無く、終始監視されている環境であった。信仰のために持っていた聖書も取り上げられ、まさに現代の強制収容所というべきものであり、絶対に許すことのできない人権侵害の現場であった。 統一教会員に対するこのような拉致監禁、強制入院、強制改宗などの人権侵害行為は、一部の左翼弁護士や過激なキリスト教会牧師たちによって白昼堂々と行なわれている。E子は、このような人権侵害に対して立ち向かう上野忠義弁護士および高村正彦弁護士(のちの法務大臣・外務大臣)らが強制改宗行為の違法性を裁判所に訴え、人身保護請求の手続を取ることによって無事に解放された。 |
昭和55年(人ナ)第1号人身保護請求事件 請求者 ○○ ○ 拘束者 ○○病院院長 ○○○○ 被拘束者 E子 参加人 ○○○○○ 同 ○○○○○ 昭和55年4月26日 請求者代理人 弁護士 上 野 忠 義 弁護士 高 村 正 彦 |
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1. |
準備書面 請求者としては既に何回も裁判所に請願した如く被拘束者の即時自由回復を求める。被拘束者は未成年者ではない。被拘束者は犯罪者ではない。被拘束者は病人ではない。被拘束者は信仰の故に迫害され精神病院に閉じ込められた者である。仮釈放されたものの未だに居住移転の自由も旅行の自由もない。 被拘束者をこれ以上拘束することは憲法違反である。それに対して、裁判所も弁護士も医師も両親も責任を取らなければならない。 |
2. | 本件の背後にある親子問題の根本原因は両親が聖人に達した子供の信教の自由を認めず、その自由に対する妨害と抑圧を繰り返したことにあるのである。これは両親が一方的に悪い。 何故ならば、両親には子供の信仰の自由を奪う権利がない。親といえども、自己の世界観を聖人に達した子供に押し付ける権利がない。被拘束者は誰にも迷惑をかけていない。信仰に生きるという幸せを追求していただけである。子供は親の所有物ではない。 |
3. | 人身保護事件は家事事件ではない。 迅速な自由回復が第一の目的である。被拘束者は成人に達しているので本件の家庭問題については親子の自由意志に委ねられるべきである。家庭問題の解決を理由に被拘束者の自由がいささかなりとも侵害されてはならない。 |
4. | 国選代理人が被拘束者の代理人であるにもかかわらず、本人の明示した意思に反し、自由回復に反対した態度を取ったことは、誠に遺憾である。 |
5. | 被拘束者の父、○○○○○は「被拘束者が精神病を患ったとは思っていない。彼女を精神病院に入院させたのは統一教会などから隔離させるためである」と証言した。被拘束者が病人でないことは、親自身が自白したところであり、又本人の言動を見れば一目瞭然である。事実は歴然としている。自由回復を遅らせる理由は何もない。被拘束者は信仰の故に迫害されているだけである。 |
6. | 親は尊い。親子関係は大切である。しかし子を殺す親もいるのである。本件の如く子供を気狂い扱いして精神病院に監禁する親もいる。「親」という字に免責的効果はない。親の子に対する人格無視、人権無視に裁判所が力を貸すことは出来ない。人権週間の標語の如く「人権擁護は家庭から」である。 |
7. | 裁判所は宗教の正当性を審理出来ないし、予断を持ってはならない。憲法は異端を知らない。宗教裁判は許されない。どの宗教にも等しく法の保護を与えるべきである。個人は自分の好きな宗教を選ぶ権利がある。それは信教の自由であるとともに幸福追求の権利の一部である。 |
8. | 声を大にして叫ぶ。 被拘束者に自由を! 裁判の遅延は裁判の拒否である。 |
この裁判で、E子さんを監禁した病院側が全面的に請求を認める形で和解することとなり、判決を待たずしてE子さんは自由の身となった。 事件の表示 昭和55年(人ナ)第1号 期日 昭和55年4月26日午前10時00分 場所 高松高等裁判所法廷(公開) 裁判長裁判官 越智 傳 裁判官 山口茂一 裁判官 川波利明 裁判所書記官 横関 功 |