月刊『創』2000年3月号(2月7日発行)

新連載「強制改宗の実態」宗教ジャーナリスト室生忠

宗教ジャーナリスト室生忠氏が、統一教会信者に対する拉致監禁・強制改宗の問題につき、偏見を取り去って客観的に調査しつつレポートし、宗教と社会の関係の本質に迫る論述を始めた。ところが、本来自由であるべき論説において室生氏が名誉毀損で提訴されるという事態が生じた。訴えた原告は浅見定雄という神学者(東北学院大名誉教授)である。論争は『週刊金曜日』などにも飛び火したが、以下『創』に掲載された内容を追うことにする。なお、ここに『創』背表紙の画像を掲示するが、ネット特有の便宜上のことであって特に広告等の他意はないことをお断りしておく。各説明文は江本武忠自身によるもので、誌上の小見出しタイトル等ではない。

2000.3 知られざる「強制改宗」の攻防(1)
統一教会・鳥取教会をスタンガン、チェーンなどを持って襲撃した改宗屋グループと、その時に拉致された女性信者富澤裕子さんの状況をレポート/マスコミが一切報道しなかった件/今利理絵事件/アントール美津子事件/女性信者自殺の例/等
2000.4 知られざる「強制改宗」の攻防(2) 「強制説得」の担い手たち
エホバの証人信者が監禁された事例/教会の牧師が「強制説得」を請け負っているという状況/強制説得を指導するグループは3系統あり、相互に連携している/監禁でレイプ事件も起きている/精神病院への強制収容もある/手足をロープで縛り“座敷牢”に入れられる/等
2000.5 知られざる「強制改宗」の攻防(3) マインドコントロール理論を批判する
世界的な宗教社会学者として知られるアイリーン・バーカー博士と室生氏との対談/ディプログラミング(脱洗脳)と脱会カウンセリングの相違/「カルト」と「セクト」/欧米ではマインドコントロール理論は否定的きある/等
2000.6 知られざる「強制改宗」の攻防(4) 「拉致監禁」か「救出保護」か
ディプログラミングをめぐる4件の訴訟/裁判所(京都地裁)も親による拘束、棄教の強制は違法であると認めた/「救出」の名目で棄教を強制している/等
2000.7 知られざる「強制改宗」の攻防(5) ついに国会でも問題に
国会で桧田仁議員(自民党)が組織的拉致監禁集団について追及、警察庁長官(田中節夫)が答弁した/カルト警戒網(CAN)の活動とその崩壊に至る経緯/在日米大使館を通して米国務省が調査を開始した
2000.8 知られざる「強制改宗」の攻防(6) 最終回 ディプログラミングを生み出す社会構造
鳥取事件での不起訴処分について/脱会の仕方と精神的後遺症/「反カルト」のカルト性/批判を拒否する閉鎖体質/教会側の意見、裁判等はほとんど報道されない/等
2000.11 知られざる「強制改宗」の攻防 その後 「強制改宗“鳥取・監禁裁判”に判決が!」
鳥取地裁(一谷好文裁判長)は監禁をし女性信者の親と監禁を指導した牧師(高澤守)に対し損害賠償の支払を命じる判決を下した/鳥取事件では統一教会側弁護士が警察に「襲撃者を逮捕してほしい」と要請したにもかかわらず1年以上放置されたため、やむなく民事提訴したという経緯があった/マスメディアは沈黙し、報道しなかった/米国務省は日本の宗教者拉致監禁問題に言及した/等
2001.3 投稿 「『強制改宗』めぐる攻防」執筆の背景
室生氏の記述に対し、そのうち4箇所が名誉毀損に当たるとして元東北学院大教授浅見定雄氏が室生氏を提訴した。それに対して、むしろ名誉毀損を受けたのは自分のほうであるとの根拠を示して室生氏は反論。その経緯、またメディアの責任等について/なお、室生氏の投稿文の前に編集部による
「『強制改宗』めぐる攻防」裁判と本誌の立場」という文章が載せられた。
2001.6 投稿 「エホバの証人説得牧師に違法判決」
エホバの証人信者が監禁され棄教を迫られた事件で、神戸地裁(近藤猛司裁判長)が原告信者に勝訴判決を下し、監禁を協力した牧師(草刈定雄牧師)の違法行為を認めた/等
2002.3 投稿 「名誉毀損裁判の判決になぜ控訴したか」
東京地裁民事部(高田健一裁判長)は浅見定雄氏が提起した訴訟につき、「創」誌と室生氏に対して損害賠償の支払を命じる判決を下し、室生氏に対しては謝罪広告の掲載を命じた/高田裁判長の判決内容には種々に深刻な問題があり、控訴した/室生氏の投稿の前に編集部による「『強制改宗』めぐる裁判で控訴した理由」が載せられている

室生忠(むろう・ただし)
1944年茨城県生まれ。 フリージャーナリスト。 1968年中央大法学部卒。著書に「現代の宗教 立正佼成会」、「若者はなぜ新・新宗教に走るのか」、「新人類と宗教 若者はなぜ新・新宗教に走るのか」、「阿含宗  世界平和への道」、「対論 オウム真理教考」等多数

★ホームページ「室生忠の宗教ジャーナル」