カール大帝  

 

 教皇レオ3世はカール大帝に王冠を授け、ここにキリスト教の統一王国が出発しました。カールが「大帝」と呼ばれているのは、彼こそ中世君主の模範とされているからであり、摂理的観点から見てもキリスト教王国の最初の王だからです。そして、ユダヤ教の王国ができた時代において「ソロモンの栄華」の時代があったように、キリスト教の王国の時代においてもカール大帝の名前にちなんで「カロリング・ルネサンス」と言われる文芸復興が起こりました。
 また、その精神的なバックボーンとなっていた思想の最高権威はアウグスチヌスの神学だったのです。だから、カール大帝によって、もはや古い傷を残したローマ帝国ではなく純粋なキリスト教精神が根底に流れる巨大なキリスト教帝国が確立したのです。実際、今日のキリスト教を中心とする「西欧」という概念はカール大帝によって確立されたといっても過言ではありません。

 更に、彼が西暦800年のクリスマスの日に聖ペテロ寺院で大帝に即位したということも、摂理的同時性の観点から見て非常に意義が深いことです。もう、お気づきかもしれませんが、サウルがイスラエルの王としてサムエルから頭に油を注がれたことと、カール大帝がレオ3世から王冠を拝受したことが摂理的同時性の現象であることは言うまでもありません。
 なお、カール大帝はチャールス大帝とか、シャルル・マーニュとも呼ばれています。