日本国統一  

 

 日本という国家の創立者は、「ハツクニシラス・スメラミコト」(初めて国を統治した天皇)という称号を持つ天皇ですが、よく知られる通りその称号を持つ天皇は二人存在します。初代天皇である神武天皇と第10代の崇神天皇です。江本武忠の個人的見解としては、日本においてもユダヤの歴史における「創世のやり直し」と同様の現象があったのだと思うのです。

 本当はアダム(人間始祖)が世界最初の国家統治者となって「神の国」を治めるべきだったにもかかわらず、それが実現できなくなった結果、やがて10代目のノアの時代に有名な大洪水が発生し、ノアの家族以外の人類は全滅するという現象が生じた。それで、ノアは実質的にアダムと同一の立場に立って「神の国」を統治する使命を受けたのでした。そして、その歴史のアナロジーが日本の国家成立過程においても繰り返しているのではないかと私(江本)は思うのです。

 すなわち、神武天皇が誰であったかは特定できないのだけれども、本来の日本国家統治者(ハツクニシラス・スメラミコト)は間違いなく神武天皇であったと言える。しかし、ノアの時代あるいはイエスの時代に人類史の流れの上で中心となるイスラエルの摂理が中断、延期したために神武天皇という存在も神話的人物にならざるを得なくなったのだと考えられるのです。そして、その使命が10代をかけて崇神天皇にバトンタッチされた結果、崇神天皇も同様に「ハツクニシラス・スメラミコト」という名前で再登場せざるを得なくなったのではないか、というのが私の見解です。崇神天皇は「ミマキイリヒコ」という別名を持っておられ、この名前には深い意味(任那から婿入りして来た王、という意味)が隠されているという説もあるのですが、国家起源説に関しては非常にデリケートな問題を含んでいるので、ここでは深入りしないことにしましょう。