王 国  

 

 カール大帝は信仰においても政治的実力においても実に偉大な人物であり、まさにあのダビデ王の似姿だったのです。ところが、カール大帝のあとを継いだルイ敬虔王という人は確かに「敬虔」な人には違いないけれども、世界を統治するほどの政治力というものは全然なかった。しかも、政治どころか自分の息子たちの領土分割の問題もまとめきれず、とうとうカール大帝から3代目にして王国は東西のフランク王国に分裂してしまったのです。

 そして、ついに本家である東フランクのルイ2世が死亡して王統が絶えてしまったため、919年の選挙でヘンリー1世がドイツ国王として立った。ここに、カロリング朝からドイツのザクセン朝に運勢が移ってしまい、カール即位から3代120年の統一王国は崩壊してしまったのです。