サウル  

 

 サウルは預言者サムエルからイスラエル民族の最初の王として頭に油を注がれ、ここに統一王国が出発することとなりました。サウル王という人は、まあ信仰的な人には違いないのですが、戦争に勝ってばかりだったので、ちょっと傲慢になったというか「神の選民」という意識よりも自分のエゴのほうが目立つようになったのです。それで、だんだん神の意向を伝える預言者サムエルの意見ともぶつかったりするようになって、次第に国民の人気も失われていきました。

 その頃、国民の人気が集まっていたのがダビデという青年でした。ダビデはサウルに負けないほどの戦士で、しかも頭の良い人でした。若い頃も、ゴリアテという身長2メートル70センチもある巨人に石ころを投げつけて倒すなど、もっぱら世間の評判でした。サウル王はダビデに嫉妬して彼を殺そうとしましたが、ダビデは賢くスルリスルリと身をかわして全く相手にせず、身を隠していました。そうしている間に、サウル王は壮烈な戦死を遂げたのです。