士師の時代  

 

 イスラエル民族はモーセという偉大な指導者によってエジプトから脱出し、やっとのことで400年間の奴隷状態から解放されました。そして、いよいよ故郷カナンで待望のメシヤを迎える段階に入ったのです。

 ところが、昔ヤコブ(イスラエル)が家庭次元のレベルで勝利してもサタン側の基盤が民族レベルになっていたために、すぐに神がメシヤを地上に送る(誕生させる)ことができず、イスラエルがサタン側に対抗できる民族レベルの基盤を確立するまで待たねばならなかったように、今度も同様の状況に直面したのです。
 つまり、やっと奴隷から解放されたイスラエル民族がカナンに里帰りを果たし、「やれやれ、これでメシヤを迎える民族レベルの基盤ができたぞ」と思ったのだけど、今度はサタン側は既に異教徒の「国家レベル」の基盤を形成していたのでした。だから、イスラエルも早く「イスラエル国家」を樹立しなければならなくなったのです。イスラエル民族の中にメシヤが誕生しても、強大な軍事力を持つサタン側の国家から攻められたら終わりなんですね。

 イスラエルがメシヤを迎えるための国家(王国)を樹立するまでの期間がまた400年間かかったのです。この期間はまだ国王が存在せず、「国王」「預言者」「祭司長」という国家機関の分権体制が発達していませんでした。そこで、それらの役目を全部まとめて「士師」という立場の人々が交代制で統治していたのです。それでこの時代を士師時代というわけです。