宮内俊之・元アラビア石油副社長と文鮮明師との出会い
宮内俊之
 (みやうち・としゆき)
 
元アラビア石油副社長
 元伊藤忠商事理事


明治42年、銚子市に生まれる。昭和6年、横浜高等商業学校(現・横浜国立大学)卒業後、伊藤忠商事入社。伊藤忠アメリカ社長、経済同友会海外市場調査部会長、昭和46年、アラビア石油副社長。伊藤忠商事理事等を歴任。

 私は宗教者ではありませんし、信仰心もそう深くはありませんでした。それなのになぜRYSにこんなにも興味をもつようになったのでしょうか。
 
私は生粋の経済人です。50年間貿易一筋に生きてきて思うことは、人類を不幸にしていることが二つある、それを解決することができれば、人類は幸福になるということでした。その二つは経済戦争と宗教戦争です。インド、スリランカを旅行した時には、インド・パキスタン分割に伴う民族の移動を目の当たりにしました。

1934年から中南米5か国と西インド諸島を任地とした時には、宗教がいかに深く日常生活に組み込まれているかを知りましたが、それが本当の信仰心につながるかは疑問でした。私自身も説教を開き、教会にも出入りしていましたが、商売に影響のあることだと思ったから行っていただけで、宗教を信じたわけではありませんでした。

 その後、中東に15年間滞在しました。そこで油を掘るわけですが、年に一度、クウェート、サウジアラビアの両国王に報告に行かなければならないのです。報告の後、1時間近くお説教があります。そこではユダヤ教に対する批判ばかりを聞かされました。
 
このような体験を通して、宗教に関して考えざるを得なくなりましたし、70歳を過ぎたら経済から離れて、宗教を勉強してみたいと思うようになりました。

 そこで出会ったのが、文鮮明先生の提唱される統一運動でした。文先生は、「世界宗教議会」で宗教間の融和を図ることを宣言されました。私は、もしこういう運動が世界的に支持されて行動に移されるならば、経済戦争、宗教戦争は下火になるという夢を持ちました。


 その一つがRYS(青年宗教者奉仕団)でした。私は「これこそ未来を託す若者たちが神の愛と奉仕の念で一つの場所に集まって、宗教の融和を図っていくための実践である」と解釈しました。10年、20年経てば、われわれが頭で考えて融和と言っているよりもはるかに実績が上がるのではないかという期待をもったのです。

 初回からずっと、参加された方の話を聞かせていただいておりますが、当初考えた通りの結果が実っていっていると確信を深めています。「参加して良かった。苦しかったけれど、たくさんの国々の人と交流ができ大変プラスになった」と異口同音に知らせていただいて、勇気づけられています。

(統一教会発行『新天地』1989年10月号、62頁より)


        *      *      *      *

私と文鮮明師との出会いは、師がダンベリーの刑務所を出てソウルに帰られて催された『文先生勝利帰国歓迎晩餐会』の時であった。(中略)私は師が私の前に来られ手を差しのべられたので固い握手をしたが、師の偉大な精力的な体躯から発せられるエネルギッシュな力に圧倒されて、思わず“Oh! Father”と口籠もるだけであった。

(中略)宗教指導者のスピーチは、人間の心を揺り動かすと聞いてはいたが、会場での師のスピーチほど私の心に響き強い感銘を覚えたものはなかった。(中略)迫害に屈せず神から与えられた使命感に溢れたスピーチに会場を埋めた聴衆は強烈な感激を受けたに違いない。(中略)統一原理はそうした神との霊的交流から生まれたものであり、勝共連合の理念の原点もそこにある。その意を体し勝共連合の運動を今後とも一層強く推進しようではないか。

(「私の勝共運動」1987年12月発行、228〜229頁より)