ルター  

 

宗教改革者ルター
 退廃した当時のローマ・カトリック教会に対して、勇敢に抗議していったのがマルチン・ルターでした。彼は当時教皇庁から発行された免罪符に対する批判などを含む意見書を大学の礼拝堂の扉にバーンと張り付けて抗議した人物です。それが抑圧されていた民衆の不満の起爆剤となって彼は一挙に民衆の中のヒーローとなりました。そして彼の親派が結束してドイツ国会に『抗議書』(プロテスタチオ)を提出したことから、ルターの流れを汲む人々はプロテスタントと呼ばれるようになってローマ・カトリックから分離しました。そこからカトリックとプロテスタントの対立も始まるわけです。

 まあ、ルターの学説も大いに問題はあるんだけれど、要点は「二世界統治説」といって信仰上の救いと地上での努力は区別するべき、というものだ。地上で必死に努力して「免罪符」なんかを買って貢献しても、それはイエスの救いとは直接には結びつかない。つまり、信仰上の救いは「信仰のみ」が原則だというのが彼の主張のポイントです。
 でも、その見解をあまり拡大解釈していくと結局「地上で努力しても仕方ねーや」という政治的無関心・無責任のクリスチャンが増大してしまうわけだ。そして、ついに「人間の努力と全く無関係に、神に救われる人はもう決まっている」なんていう予定説(カルヴァン)まで出てきてしまう。実は、この問題(神の救いと人間の責任)を根本的に解決する理論は再臨主によって解明された「統一原理」の中に含まれているのだけれど、ここでは神学論争は避けましょう。

 それはともかく、ルターの抗議パワーはものすごかった。彼によってキリスト教が全く新しく生まれ変わったのだ。その影響は実に世界的で、一挙にクリスチャンの信仰が刷新されていったのです。
 そして、あとは再臨主を迎える準備をするのみ、という世界的状況が形成されていくのです。これは、ちょうどユダヤ教の歴史においてイエスが誕生する400年前に預言者マラキの出現によって信仰が一挙に刷新されたのと同様の状況(摂理的同時性の現象)なのです。