UPI、WT親会社に売却
2000.5.17「世界日報」

【ニューヨーク15日原田正】米UPI通信社(本社ワシントン〕は十五日、社名、ロゴ使用や財産権の一部を米紙ワシントン・タイムズの親会社である「ニューズ・ワールド・コミュニケーションズ」社に売却したと発表した。 同社によると、会長にはワシントン・タイムズの朱東文(ジュー・ドンムン)社長が就任するが、アーノード・ボルシェグラーブUPI社長が新会社でも引き続き社長を務める。

 ボルシェグラーブ社長は「この合意は記者たちにその技術とニュース報道の独立性を発揮させる新しい機会を与えるだろう」とコメントした。同社長は二十五年間、ニューズウイークの編集委員を務めた後、八五年から九一年まで、ワシントン・タイムズの編集主幹だった。ニューズ・ワールド・コミュニケーションズ社は、「UPIは今後も編集権の独立性を維持するだろう。インターネットへのニュース配信を強化することで経営立て直しを図る」との声明を発表した。

 UPI通信社は一九〇七年創刊。五〇年代末期には、五千加盟社をもつ世界有数の通信社となり、六三年のケネディ大統領暗殺をスクープ。経営不振で八二年以降、オーナーは四回代わったが、多くの有能な記者を生み出しており、最近では、ホワイトハウス詰め記者幹事役のへレン・トーマス氏が有名。トーマス女史は、ケネディ以来歴代大統領を取材してきた。同女史は最近、クリントン大統領が製作・主演したPR用フィルムに登場している。
<米国通信社>統一教会傘下企業がUPIを買収
2000.5.16「毎日新聞」

 【ワシントン15日中井良則】米国の通信社UPIは15日、世界基督教統一神霊協会(統一教会)傘下で、保守系紙ワシントン・タイムズなどを発行するメディア企業「ニューズ・ワールド・コミュニケーションズ社」に買収されたと発表した。UPIは93年の歴史を持ち、米国を代表する通信社だったが、APやロイターなどほかの通信社との競争の中で経営が悪化し、1992年、サウジアラビア人の実業家グループが買収。その後も経営が好転せず、新たな身売り先を探していた。

 UPIのデボーシュグレイブ最高経営責任者(CEO)は「ニューズ社の幹部には統一教会のメンバーがいるが、統一教会はニューズ社と公式の関係はない」と述べた。

 同氏はUPI社員に対し、編集の独立は維持され、社員157人の雇用も守られると説明した。同氏がCEOに留任し、ニューズ社社長が会長に就任する。

 ニューズ社はUPIが行っているインターネットサイト向けのニュース供給を拡大する意向を明らかにし「UPIは編集の独立を維持する」と発表した。