メシヤを待ち望む状況

 


 イエスが生まれた当時のユダヤ王国は、「王国」とは言っても強大なローマの属国にすぎませんでした。国民はユダヤとローマからの二重の税金で苦しめられていましたが、ユダヤの王様(ヘロデ)はいつもローマ帝国に対していい顔をして点数かせぎばっかりしていたのです。

 一方、旧約聖書の最後の預言(マラキ書)を信じていた民衆としては、「ああ〜、ローマ帝国を打ち倒すような力強いユダヤの王様が現われないかしらねー。マラキさんが預言したメシヤはいつ登場するのかね」「いや、でもその前に預言者エリヤがどこかに現われてメシヤを紹介してくれるってマラキ書には書いてあるけど、“エリヤ”って一体、誰のことかねえ」というような会話が交わされていたものと思われます。