佐々保雄・日韓トンネル研究会名誉会長 | |
21世紀を語る人は多いのですが、そのために実践する人は、どこにいるでしょうか。 人は皆、目先の利害にとらわれて行動しがちです。そしてその結果が、今の混乱した状況であると言えるでしょう。国内を見れば、エゴの増長、倫理・道徳の退廃。世界を見れば、貿易摩擦と地域紛争。21世紀に果たして希望はあるのでしょうか。 国をこえた巨大プロジェクト、国際ハイウェイ構想は、単に語られたものではなく、今実践されているものなのです。「世界は一つ」という人間の本心の希望をのせ、神の愛の理念を柱に着実にすすんでいるのです。混迷する世界の問題を解決する大きなプロジェクトなのです。(中略) 同プロジェクトの提唱者、文鮮明師は、次のように語っています。 「今日、すべての人類は飢餓、疾病、戦争からの解放を切望し、平和と幸福に満ちあふれた理想世界を願っています。人類が抱いているこのような願望、人類一家族という理想を実現する方向で、東洋と西洋の諸国を連結するのが、国際ハイウェイの構想です」 「この提案は、未来の理想世界を実現するための、具体的な計画の一部であります。世界の人々を一つに結ぶ拘束輸送のネットワークをつくり、世界の至るところに短時日で往復できるようになれば、それだけ地上天国の実現は早いといえるでしょう」(中略) 文師の提唱を受けて、日本ではただちに国際ハイウェイ建設準備委員会が設立され、同構想の第一次案である「東アジアハイウェイ構想」のうち、最も困難とされる日韓トンネル計画を手がけることになりました。そして翌年1月には、学識経験者による日韓トンネル研究プロジェクト総括委員会が発足しました。さらに同年4月には、国際ハイウェイ建設事業団が設立され、トンネル建設に向けて本格的な活動が開始されました。(中略) 現地での調査活動が活発に続けられる一方、研究機関として83年5月に日韓トンネル研究会が設立。約千人の学者・技術者が法律、経済、地質、設計、施工、環境などの専門部会にわかれて、多岐にわたる研究活動を行なっています。その研究成果は、毎年開かれる総会で報告されるだけでなく、海外の国際会議でも発表され、各方面から大きな注目を集めています。 「巨大プロジェクトのもたらす社会的便益は、直接的な料金収入よりはるかに膨大であり、国際ハイウェイ建設の意義はまさしくそこにある」と、日韓トンネル研究会第一部会は報告しています。ハイウェイ運動は、まさに「世界を照らす光」(久保木修己・国際ハイウェイ建設事業団会長)であり、人類発展の大きな原動力になるでしょう。 (佐々保雄著『日韓トンネル』郷土大学叢書、2〜52頁) |