◆安倍晋三元内閣総理大臣 演説全文
ご出席の皆様。日本国前内閣総理大臣の安倍晋三です。
UPFの主催の下、より良い世界実現のための対話と諸問題の平和的解決のためにおよそ150か国の国家首脳、国会議員、宗教指導者が集う「希望前進大会」で、世界平和を共に牽引してきた盟友のトランプ大統領と共に演説する機会をいただいたことを光栄に思います。
特に、このたび出帆した「THINK TANK 2022」の果たす役割は大きなものがあると期待しております。
今日に至るまで、UPFと共に世界各地の紛争の解決、とりわけ朝鮮半島の平和的統一に向けて努力されてきた韓鶴子(ハン・ハクジャ)総裁をはじめ、皆様に敬意を表します。
さて、未だ収束の見えないコロナ禍の中ではありますが、特別な歴史的意味を持つこととなった東京オリンピック・パラリンピック大会を多くの感動と共に無事閉幕することができました。ご支援いただいた世界中の人々に感謝したいと思います。
史上初の一年延期、選手村以外外出禁止、無観客等、数々の困難を超え開催できたアスリートの姿は、世界中の人々に勇気と感動を与え、未来への明かりを灯すことができたと思います。
そして、イデオロギー、宗教、民族、国家、人種の違いを超えて感動を共有できたことは、世界中の人々が人間としての絆を再認識する契機となったと信じます。
コロナ禍に覆われる世界で、不安が人々の心を覆いつつあります。全体主義国家と民主主義国家の優位性が比較視される異常事態となっております。
人間としての絆は、強制されて作られるべきではありません。感動と共感は自発的なものでなければならず、人と人との絆は自由と民主主義の原則によって支えられなければならないと信じます。
一部の国が、全体主義・覇権主義国家が、力による現状変更を行なおうとする策動を阻止しなければなりません。
私は、自由で開かれたインド・太平洋の実現を継続的に訴え続けました。そして、今や米国の戦略となり、欧州を含めた世界の戦略となりました。
自由で開かれたインド・太平洋戦略にとって、台湾海峡の平和と安定の維持は必須要件です。
日本、米国、台湾、韓国など自由と民主主義の価値を共有する国々の更なる結束が求められております。
UPFの平和ビジョンにおいて、家庭の価値を強調する点を高く評価いたします。世界人権宣言にあるように、家庭は社会の自然かつ基礎的集団単位としての自然的価値を持っているのです。
偏った価値観を社会革命運動として展開する動きに警戒しましょう。
いつの時代も、理想に向かう情熱が歴史を動かしてきました。理想の前には常に壁があります。よって、戦いがあるのです。情熱を持って戦う人が歴史を動かしてきました。
自由と民主主義の価値を共有する国々の団結、台湾海峡の平和と安定の維持、そして朝鮮半島の平和的統一の実現を成し遂げるためには、とてつもない情熱を持った人々によるリーダーシップが必要です。
この希望前進大会が大きな力を与えてくれると確信いたします。ありがとうございました。
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